書籍名 | 刑事法と人権感覚 |
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副題 | ひとつの回顧と展望 |
著者 |
佐伯千仭著 |
判型 | A5判 |
頁数 | 376頁 |
発行年月 | 1994年5月 |
定価 | 7,700円(税込) |
ISBN | ISBN4-589-01802-0 |
ジャンル | 刑事法 |
本の説明 | 刑事法学の泰斗・佐伯千仭博士の理論と実践の集大成。人間に対するあたたかい理解と刑法における謙抑主義の思想に裏うちされた先生の刑事法学を展開。論考・講演・座談会をモニュメント的にまとめ、その人となりを映し出す。 |
目次 |
はしがき T 期待可能性および可罰的違法性の理論が辿った道 1 関西刑法学草創のころ 一 刑法学との出会い 二 刑事法研究者としての出発、主観的違法と客観的違法および可罰的違法性 三 期待可能性理論といわゆる「国家標準説」の形成 四 まとめにかえて 2 違法論における民法と刑法の交錯 一 末川博『権利侵害論』からの影響 二 客観的違法論とは 三 客観的違法論の立場への到達 四 違法の統一性という視点 五 民法の違法と刑法の違法との交錯 六 民法上の緊急避難と違法の統一性 3 四・二五労働三事件(特に全農林警職法事件)の最高裁判決について 一 はじめに 二 判例の無理は長く続かない 三 四・二五判決とは 四 最高裁多数意見の問題点 五 上告理由に対する多数意見の論法 六 多数意見の自己矛盾 七 罰条構成要件の不明確さ 八 代償措置の問題点 九 残る制限的解釈の不明確さ 一〇 おわりに U 刑法改正問題とのかかわり 4 改正刑法草案の問題点 一 なぜ改正刑法草案に否定的なのか 二 必要以上に重い刑罰、広がる処罰範囲 三 刑法に取り入れるべきでないもの 四 学問的・経験的に根拠のない新規定 5 法制審の想い出 一 法制審での私の立場 二 対案を出すことの意義 三 おわりに 〔付論〕 少数者の立場…………中坊公平 −佐伯弁護士の話を聴いて− V 鼎 談 6 《鼎談》刑事裁判と人権感覚……佐伯千仭/伊達秋雄/後藤昌次郎 −見る心がなければ真実は見えない− 一 ナチス刑法理論を批判して 二 治安維持法に死刑が加えられたころ 三 松川事件と証拠開示および冤罪の問題 四 捜査のなかで曲げられる法 五 労働事件と可罰的違法性 六 「治安」主にした刑法「改正」 W 刑事法上の若干の問題 7 憲法と刑事裁判 一 はじめに 二 刑事裁判に関する憲法上の規定 三 弁護人抜き裁判特例法案の問題点 四 自由心証主義と憲法 五 精神鑑定の問題 8 自由心証主義 一 自由心証主義の由来 二 「心証」という言葉について 三 自由心証の「自由」と論理および経験則 四 自由心証主義の例外はあるか 9 法律家からみた医療 一 はじめに 二 医療行為の概念、美容整形は医療行為か 三 医療行為と刑法の傷害罪の関係 四 美容整形などはどうなるか−同意傷害− 五 医療行為と過失致死傷罪 六 過失における予見義務と回避義務 七 医療における自由裁量 八 医療行為と患者に対する説明義務 九 安楽死 一〇 死亡の時期について X 刑事裁判の回顧と展望 10 刑事訴訟法の四〇年を顧みて 一 はじめに−三つの問題− 二 捜査過程における被疑者との秘密交通権の問題 三 捜査から公判への過程での問題−証拠の事前開示− 四 公判段階での問題−自由心証主義の在り方− 11 証拠法における戦時法の残照 一 問題の所在 二 現行刑訴法の証拠法の問題点 三 旧刑訴法から現行刑訴法に至る経過−戦時刑事特別法のもつ意味− 四 松川事件のもうひとつの教訓−おまじないと綱渡り− 五 まとめにかえて 12 刑事手続と人権 一 弁護人の援助を受ける権利 二 刑事裁判の問題点 三 無罪率は低すぎないか 四 証拠能力の判断と証明力の判断 五 陪審裁判の復活を Y 誤判の原因 13 誤判原因をめぐって 一 誤った裁判のさまざま 二 事実認定の誤りの原因 三 法令適用の誤りと誤判 四 証拠の秘匿、不開示と誤判の危険 五 検察官の行きすぎた当事者主義と誤判 六 裁判官の予断 七 事実認定そのものに伴う誤判の危険、特に情況証拠による認定の困難性 八 裁判官の在り方 九 国民意識と誤判 Z 法律家を志す若い人達に 14 法律家を志す若い人達に −判例は変わるし、変わらねばならない− 一 はじめに 二 期待可能性と裁判官 三 法的責任評価の限界 四 可罰的違法性と裁判官 五 証拠開示と裁判所 六 刑訴法三二一条一項一号の解釈運用はこのままでよいか 七 被保険者証の不正受交付と詐欺罪の関係−戦時中の処罰拡大の反省− |