• TOP 
  • > コラム 

コラム

更新日:2010.1.21

低炭素社会への選択

最近では、お出かけの際、鞄の中の必需品として「エコバック」を携帯されている方も多いのではないでしょうか? いまや「エコ○○」と名のつくモノは、私たちの日常生活とは切っても切り離せなくなっています。季節の変わり目をむかえるたびに温暖化を想起される方もいらっしゃるかもしれません。地球温暖化防止を考えるとき、私たちがエネルギーをどのように利用するのかを再考することも必須となるでしょう。

現代社会のエネルギーは化石燃料に依存しており、CO2の排出による温暖化への影響や資源の枯渇問題などが叫ばれています。化石燃料に代わるエネルギーとしての原子力は、安全性や廃棄物の問題など不安の声も後を絶ちません。他に風力発電、太陽光発電などもありますが、今なお、私たちは新しいエネルギーに対する模索を続けているといえます。

温暖化防止のためには温室効果ガスの排出削減が求められます。総量規制、技術革新・代替エネルギーへの転換や排出権取引など、その方策については模索が続けられています。いずれにせよ、問題が地球規模であるだけに国際的協力が不可欠となります。国際的な温暖化対策について協議した昨年12月のCOP15会議では、先進国と発展途上国との対立から国際的合意には至りませんでしたが、先進国には2020年までの国別温室効果ガス排出削減目標の実施が義務づけられました。また、日本は、鳩山内閣が「2020年までの温室効果ガス25%削減(1990年比)」を打ち出しているので、その具体的な対応が求められています。

遠州尋美著『低炭素社会への選択』は、多彩な執筆陣により、低エネルギー社会の構築に向けて、化石燃料依存を脱するエネルギー転換の方向性を問うています。具体的には、温暖化の影響についての最新の議論や脱化石化対策としての原子力問題・代替エネルギー問題の現状を踏まえ、商店街や民間企業が取り組むエコ活動など市民主体の動きにも触れつつ、今後の低炭素社会への提言まで、多角的に論じられています。本書は、2007年10月から12月にかけて大阪経済大学にて市民向けに開講された講義がもとになっており、図表も含め大変わかりやすく書かれています。

有限な地球の上で生きる私たちにとって、温室効果ガス削減の具体策とエネルギーのあり方について考えるうえで重要な示唆を与えてくれる1冊となることでしょう。


低炭素社会への選択

<前のコラム | 次のコラム> | バックナンバー
 

本を探す

書籍キーワード検索

詳細検索

書籍ジャンル検索