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コラム

更新日:2009.7.7

ほんとうのエコ活動へ向けて

先月6月23日、京都市役所内にユニークなコンビニがオープンしました。その名も「エコ・コンビニ みやこスタイル」。実はこのお店では、缶・びん・ペットボトル入りの飲料はいっさい販売しておらず、お客さんがマイボトルなどの容器を持参し、中身だけを購入します。ゴミの減量だけでなく、大量のペットボトル飲料等を冷やしておく大型冷蔵庫が要らないことから、エネルギーの削減にもつながります。飲み物のほか、お弁当や文房具などを取り扱っていますが、レジ袋・割り箸は配布せず、「マイバック」・「マイ箸」を推進しています。さらに、店内照明に消費電力の少ないLEDを使用したりと、随所に環境への配慮がうかがえます。
3ヶ月間のみの試験的な運営にとどまり、その後新たなビジネスモデルとしての可能性を検討するようですが、全国初の試みとして、ここ京都で始まったことは喜ばしいことです。

こうしたコンビニの誕生からもうかがえるように、近年、環境問題に対する人々の意識は確実に高まってきています。しかし、地球規模で起こっている環境問題について、私たちはどれだけきちんと理解しているのでしょうか。日々エコ活動をしている人も、「なんとなく環境によさそうだから」と思ってはいませんか。

増田啓子・北川秀樹 著『はじめての環境学』は、環境問題への曖昧なイメージや思い込みを抱きがちな私たちに、「環境問題の現状・メカニズム・課題」をわかりやすく教えてくれます。地球温暖化問題が特に注目を浴び、二酸化炭素排出量の削減が声高に叫ばれていますが、現実に起きている環境問題は、他にも海洋汚染、森林破壊、砂漠化、放射性物質による環境汚染等々さまざまです。そして、これらの環境問題が相互に関わりあっているのみならず、先進国と発展途上国の関係、さらに、開発、人口、資源とも密接かつ複雑に関連しているため解決が困難で、だからこそ、国や企業や市民などさまざまなステークホルダーが国境を越えて協力し対処することが求められています。本書を通して、環境問題の解決策を考えるための基本的な視点=自然科学的基礎知識のうえに、法律・経済・倫理などをふまえた複合的視点を学ぶことができるでしょう。

昨今の環境ブームのなかで、私たちは環境に「よさそう」なものを次々取り入れる傾向があります。環境への問題意識そのものは歓迎すべきですが、その「よさそう」なものの中には、実際には「よくない」ものが混ざっている場合があります。「なんとなく環境によさそう」から一歩進んで、「これは環境によい」と自信をもってエコ活動に取り組めるようになりたいものです。


はじめての環境学

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