3.コメント
*解答例は現時点でなし。力作を随時募集しています!
*この問題を書くにあたり、犯しやすい誤りの例を記しておきます。
 いったん答案を書いてみて、以下のような点がみられないかチェックしましょう。

【問題提起】
「懲役又は禁錮に処せられたる者を一月以上継続して拘禁することを得ず」の部分を引用する必要はない(被疑者・被告人を問題にしているから)
「抑留が原則であってはならず」は代用監獄特有の問題ではない。(勾留一般の問題)
「妥当な期間内に」は代用監獄特有の問題ではない。(勾留一般の問題)
「他の官憲」は日本では問題にならない(裁判官のみ)。
刑訴法61条、64条にふれている答案が非常に少ない。これを書かないと、なぜ9条3項が問題になるのか具体的に説明できず、代用監獄と9条3項が直接つながらない。
そこをよくわかっていないと、「代用監獄制度が速やかに連れていくことを妨害しているか否かが問題となる→23日間の逮捕・勾留機関は「速やかに」といえるか」といったように、誤った方向へと流れていってしまう。
9条3項を引用し、「このように9条3項は代用監獄を認めていないから、法解釈でこれを認めることができるかが問題である。」と書いてある答案が多い。結論先取りの典型。
75条を挙げているものが比較的多くいるが、なぜだ?

【規範定立】
(1) 自説の展開の混乱
規範定立とあてはめがごっちゃになっているものが多い。
勾留場所に代用監獄を指定するのは、捜査機関ではない。裁判官・裁判所である。
「早期に分離」という趣旨→では9条3項をどう解釈するか?(趣旨だけでは解釈になっていない)
(2) 反対説の紹介と批判のしかた
代用監獄の実態がいかにひどいものであるかについてたくさん書いても、それだけでは得点につながらない。9条3項に反しないという説を紹介し、批判する際に意味がある。
代用監獄が必要だという主張は、反対説の実質的論拠であって、反対説そのものではない。
代用監獄が9条3項に反しないとする見解を採った答案の多くは、9条3項が、裁判所に連れていった後、捜査機関の手元に戻すことを禁じていることを承認しつつも、現実の必要性に鑑み、違反しないと論じている。
これは結局、「9条3項は無視してよい」と言っているに等しい。代用監獄が必要だと考えるのであれば、そもそも規範定立のところで、「9条3項は捜査機関の手元に戻すことを禁じていない」と解釈し、論証しなければならない。

【その他】
(1) 書式マニュアル
× 両脇開けていない
× 段落に適宜番号をふっていない
× 以上と書いていない
本文と「以上」との間に空いた行をおかない。
「以上」は右端
(2) 多くの人が誤った漢字
拘留、公留→勾留
鑑獄→監獄